1週間前は、M市にいた。なんだか、時間がたつのが早く感じる。
6月6日の日記をここに書くことにする。
いつものことであるが、私は旅先ではほとんど眠れない。
今回は伯父の葬儀だけに、ホテルに入ってもどこか体全体に力が入ってい
るようで緊張感がいつまでも私を縛り付けていた。
東京をたつ前日にホテルを予約したので、ツインとシングルはとれずトリプルだ
ったので、母と弟が寝息をたてているのに自分だけ眠れずにいるのが、なんだか
損をしている気分だった。
朝6時、ふたりが起きたのでスクリーンを巻き上げて窓を開けた。
事故防止のため15センチほどしかあかないが、ひんやりとした外気が入ると、
いい匂いがした。みどりの匂いだ。
ビルが林立している駅前のホテルであるが、こんなに空気が澄んでいるなんて。
感動である。どうせ生きるなら、こんないい空気を吸いながら暮らしたい。
告別式は12時半に始まった。
読経のあと葬儀屋さんに遺族だけが呼ばれた。どうしたのだろうと思っている
と、故人のために用意された花の一部を弔問客に手渡すようであった。
結婚式のあと、新郎新婦が来てくれたお客さんに花を渡してお礼をのべるのは
知っているが、こういう時もするものなのかと意外であった。
そのあと精進落としの食事であったが、私たちは新幹線の時間が迫っていたので、途中で退席した。
従妹や伯母たちとは、あまり話ができなかったのが心残りであるが、こういう時
だからしかたない。
控室で喪服を脱ぎ、したくをして出てきたら従妹が「このお花持っていって」
と言う。
「これは、伯父さんのためのお花だからそんなことできないよ。
仏壇にあふれるほどのお花をお供えして。花は、あの世へ行く道しるべに
なるって言うし」と遠慮したが、「まだいっぱいあるから」と繰り返し
従妹は言う。
花をもらっても、これから2時間半新幹線に乗るのだから、しおれてしまう
かもしれない。
そう言ったが従妹は、セロファンに包まれた胡蝶蘭とカサブランカを勧める。
葬儀に来た人に花を渡すのが、こちらの土地の流儀なのかもしれないと
思うと、頑固に断るのも悪い気がしたのでもうらうことにした。
「今度会う時は、おめでたい時に会いたいね」
口々に言い、私は花を胸に抱いてタクシーに乗り込んだ。
6月6日の日記をここに書くことにする。
いつものことであるが、私は旅先ではほとんど眠れない。
今回は伯父の葬儀だけに、ホテルに入ってもどこか体全体に力が入ってい
るようで緊張感がいつまでも私を縛り付けていた。
東京をたつ前日にホテルを予約したので、ツインとシングルはとれずトリプルだ
ったので、母と弟が寝息をたてているのに自分だけ眠れずにいるのが、なんだか
損をしている気分だった。
朝6時、ふたりが起きたのでスクリーンを巻き上げて窓を開けた。
事故防止のため15センチほどしかあかないが、ひんやりとした外気が入ると、
いい匂いがした。みどりの匂いだ。
ビルが林立している駅前のホテルであるが、こんなに空気が澄んでいるなんて。
感動である。どうせ生きるなら、こんないい空気を吸いながら暮らしたい。
告別式は12時半に始まった。
読経のあと葬儀屋さんに遺族だけが呼ばれた。どうしたのだろうと思っている
と、故人のために用意された花の一部を弔問客に手渡すようであった。
結婚式のあと、新郎新婦が来てくれたお客さんに花を渡してお礼をのべるのは
知っているが、こういう時もするものなのかと意外であった。
そのあと精進落としの食事であったが、私たちは新幹線の時間が迫っていたので、途中で退席した。
従妹や伯母たちとは、あまり話ができなかったのが心残りであるが、こういう時
だからしかたない。
控室で喪服を脱ぎ、したくをして出てきたら従妹が「このお花持っていって」
と言う。
「これは、伯父さんのためのお花だからそんなことできないよ。
仏壇にあふれるほどのお花をお供えして。花は、あの世へ行く道しるべに
なるって言うし」と遠慮したが、「まだいっぱいあるから」と繰り返し
従妹は言う。
花をもらっても、これから2時間半新幹線に乗るのだから、しおれてしまう
かもしれない。
そう言ったが従妹は、セロファンに包まれた胡蝶蘭とカサブランカを勧める。
葬儀に来た人に花を渡すのが、こちらの土地の流儀なのかもしれないと
思うと、頑固に断るのも悪い気がしたのでもうらうことにした。
「今度会う時は、おめでたい時に会いたいね」
口々に言い、私は花を胸に抱いてタクシーに乗り込んだ。
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