そっくりな人
2007年6月19日社会保険事務所の帰り、母とバスに乗った。
駅前始発なので、私と母は、後部座席の二人掛けシートに並んで
座った。
少ししてバスの一番前の高くなったひとり掛けに座っている人を見て、驚いた。
父にそっくりではないか!
「ねぇ、あの一番前の人おとうさんそっくりだよ」
「えっ、どの人」
母は全然気づいていなかった。
「ほら、髪の毛の長さや白髪の量、ひじの太さやめがねをかけた
横顔なんておとうさんといってもおかしくないくらいじゃない」
「ほんとうだ、首が短いのもそっくり」
父は、視力がよく40代の視力と言われたほどだったが、本を読む
ときと趣味の絵を描くときだけめがねをかけた。
その時の横顔や、何気なく窓の外をながめるとき、ひじの置き方、
あごに手をそえるしぐさが、父そのもののように見えた。
見れば見るほど、そっくりで生前の父のことを思い出してしまい、
やがて見るのがつらくなってきた。
もしも3人で出かけたとしたら、確実に父だと言い切ってもおかしく
ないほどである。
行方不明になっていたら、きっとすっとんでいって「おとうさん!」
と声をかけたに違いない。
「おとうさん、さまよっているのかしら?」
などと、母が言うものだから今度は少し怖くなった。
それとも、これはどういうことなのだろう。
仏様か神様が、父はあの世で、元気だよ、と教えてくれるために
そっくりな人をつかわせて、私たちに見せてくれているのだろうか、
などと考えてしまった。
あの人はどこまで行くのだろう。
「もしかして、おとうさんが入院していた病院前で降りるかも」
もうすぐ、その停留所だ。
「いやだぁ・・・・」母は気味悪がった。
結局、私たちの方が先に降り、その人はそのまま乗って行った。
母が「顔を見に行ってきたら」と言ったが、それはよした。
全然違う顔の人に決まっている。
つかの間、元気な父に会えたと思った方がいいような気がした。
バス停で、父が退院してきた時、私が荷物を持ってふたりで降りたよ
なぁと思ったら、なんだか涙が出そうになってしまった。
1年前の6月、父はまだまだ元気だったんだ。
だれでもいい、とにかくみんな長生きしてほしい。
駅前始発なので、私と母は、後部座席の二人掛けシートに並んで
座った。
少ししてバスの一番前の高くなったひとり掛けに座っている人を見て、驚いた。
父にそっくりではないか!
「ねぇ、あの一番前の人おとうさんそっくりだよ」
「えっ、どの人」
母は全然気づいていなかった。
「ほら、髪の毛の長さや白髪の量、ひじの太さやめがねをかけた
横顔なんておとうさんといってもおかしくないくらいじゃない」
「ほんとうだ、首が短いのもそっくり」
父は、視力がよく40代の視力と言われたほどだったが、本を読む
ときと趣味の絵を描くときだけめがねをかけた。
その時の横顔や、何気なく窓の外をながめるとき、ひじの置き方、
あごに手をそえるしぐさが、父そのもののように見えた。
見れば見るほど、そっくりで生前の父のことを思い出してしまい、
やがて見るのがつらくなってきた。
もしも3人で出かけたとしたら、確実に父だと言い切ってもおかしく
ないほどである。
行方不明になっていたら、きっとすっとんでいって「おとうさん!」
と声をかけたに違いない。
「おとうさん、さまよっているのかしら?」
などと、母が言うものだから今度は少し怖くなった。
それとも、これはどういうことなのだろう。
仏様か神様が、父はあの世で、元気だよ、と教えてくれるために
そっくりな人をつかわせて、私たちに見せてくれているのだろうか、
などと考えてしまった。
あの人はどこまで行くのだろう。
「もしかして、おとうさんが入院していた病院前で降りるかも」
もうすぐ、その停留所だ。
「いやだぁ・・・・」母は気味悪がった。
結局、私たちの方が先に降り、その人はそのまま乗って行った。
母が「顔を見に行ってきたら」と言ったが、それはよした。
全然違う顔の人に決まっている。
つかの間、元気な父に会えたと思った方がいいような気がした。
バス停で、父が退院してきた時、私が荷物を持ってふたりで降りたよ
なぁと思ったら、なんだか涙が出そうになってしまった。
1年前の6月、父はまだまだ元気だったんだ。
だれでもいい、とにかくみんな長生きしてほしい。
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