夕方、強風で飛んできた落ち葉を掃除をしようと外へ出ると、阿久田

さんが旦那さんと帰ってきたところだった。

うわっ!まずい。なんてタイミングが悪いんだ、私!

「こんにちは。この間は、どうも・・・」と挨拶をする。

「あれからさー、私、あの人の家までついて行ったのよ」

ついて行ったぁ???すっげ〜〜〜。

「え?ついていったんですか?家まで?」

こりゃ、驚きだよ。おばあさんも、断らなかったのかね。

「あそこの角あるじゃない。あの斜め向かいに住んでたのよ。名前は
××よ」

名前まで確認してきたんだ。執念深い・・・。

「あ〜、あちらから来てたんですか」

「ついて行って、アンタのしたことを旦那さんに全部言ってやる

から!って言ったの」

ひょえ〜〜〜〜〜。阿久田さん、それやり過ぎだよ。何もそこまで
しなくたって・・・。

「そしたら、『旦那は今、病気で寝てるからそれはしないでくれ』

って言うからさ!今度、猫つかまえてあの人んちに、全部届けて

やるって言ってやったのよ。それと、ここへ来てまた同じ事をしたら

ただじゃおかないからってね!って言っておいたわよ!」

「はぁ・・・・」尋常じゃない阿久田さんのせりふに、私は固まる。

怖い、このおばさん怖すぎ・・・・。

ただじゃおかない、ってどうするつもりなんだろう。

こうやって、犯罪が起こるのかもしれない。

阿久田さんは、異常なほど猫退治に執念を燃やす。

野良猫ジュリの子どもを奪って遠くに捨てに行ったり・・・。

うちのチビタだって、阿久田さんに虐待めいたことをされていたから

見るに見かねて私が保護したんだ。

「あっ、またお宅にいる!庭にフンなんかされないの?」

「されますよ。臭いますけどね。仕方ないです」

そりゃ、野良猫にフンはされるし、植木は踏み潰したりひっくり返し

たり、被害はあるけど、子猫だっておとなになれば、自然にあちこち

に散っていなくなる。ひと時の、辛抱でしょうが・・・。

ジュリの母親ぶりは、見ていて感心するほどだ。

もう、子どもがかわいくてかわいくてしかたない。食べさせる事、

守る事に必死になっている。その姿は、感動を与えてくれるほどだ。

私は、自然のままでいいと思っている。

「あの子猫だって、大きくなればそこらじゅうにフンをして歩くんだ
から!」

子猫を追い回しながら言う。

私はそれには答えず、家の前の私道を掃除しだした。

阿久田さんは、向かいの丸山さんちのヤツデの落ち葉を拾い上げた。

私が掃除をしているから、私に渡すんだろうと思ってたら、あ〜た!

阿久田さん、どうしたと思います?

丸山さんちの庭に投げ入れたのですぞ。

これは、アンタんちの落ち葉でしょって考えらしい。

そういえば、去年、丸山さんちの植木が塀から私道にはみ出ていたら

バキバキと枝をへし折って、塀の中に入れていた。

もっとすごかったのは、武田さんちの木をのこぎりで、ガシガシと

切り倒していたのも見た事がある。

ちょっとちょっと!許可とってやってるの?

あとで聞いた話によると、その木を伝って猫が武田さんちのベランダ

に乗るかららしい。

それ程、猫を憎んでいる。特別何か恨みがあるわけではなく、ただ

フンをして臭いからという理由だけで。

なんか、こうして文にしてみると、私ってすごい人がいる近くに住ん
でるのね。

そのうち、阿久田さんが週刊誌ネタになるようなおばさんにならな
ければいいけど。

騒音おばさんみたいに。

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