たいせつなこと

2004年6月10日
ゆうべ書いた日記を翌日に読むと、恥ずかしくなって時に落ち込む。
きょうがまさしくそうだった。

そればっかりじゃないんだけど。

最近、体調がいいなぁと思って動き回っていた疲れが出たのか、一応いつも通り5時半頃に起きて、みんなの朝食の支度を母と一緒にしたけれど、全部終わって自分の部屋に戻ると、元気が出ない。

あ〜あ、過信し過ぎたかぁ・・・。気が滅入る。

親に何か用を言いつけられないうちは、甘んじてウトウトしてしまっていた。
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午後、父が病院から帰ってくると「明日から1週間入院だー」と言って、支度をし始めた。

以前に直接、肝臓に抗がん剤を入れるため、足の付け根に穴を開け、管を入れる手術をした。

ここから、直接抗がん剤を肝臓にめがけて入れるため、副作用など全身への負担が少なくてすむという利点があった。

しかし、足の付け根から直接入れた抗がん剤が、なぜか胃の方に行ってしまい、その結果胃潰瘍になってしまったのである。

それは、今までの事例からして、珍しいことらしく「特別」という結果になった。

技術の悪さではなく、父の体の構造がそうなっている事が、後の検査でわかった。

このことを、前のインフォームドコンセントで聞かされた。

そんなわけで、2時間余りの手術で作ったバイパスもなんの役にもたたなかったのである。

それを、今回抜き取る手術をするらしい。足の付け根につけられた丸い金属もはずすのだろう。

今は、と言っても病院や医者によって違うのかもしれないが、癌だからといって、死ぬまで入院させておくことがないようだ。

数値のうえで、まぁまぁな結果が出れば退院を勧められる。

心配な事もいろいろあるだろうが、父もそれを望む。

私たち家族も望む。

家の雑多な生活は、父が癌であることを忘れさせてくれるひとつにもなっている。

父が、絵を描いている。

ちび太がひもにじゃれて走り回る。

「うるさいなぁ」と父が言う。

夕食をさっさとひとりだけ先にすますと、私と母が食べていても「いいだろう」と言ってタバコを吸い出す。

「なんだよ、せいぜいあと3分くらいで終わるんだから、隣の部屋に行って吸ってくれればいいじゃんよ」と口に出さないが、私はムッとする。

母が何かを言う。

父が些細なことに怒る。

こんな事は、父が元気だった頃とまったく同じだ。

煩雑な毎日が、実は貴重な日々だったりする。

しかし、こんな事でも起きない限り、気づかないで通り過ぎてしまう。

カメラに納めるほどの特別な事ばかりが、大切なものでもないと気づく。

大切なことって、近くに無造作にありすぎて気づかないのかもしれない。

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