久しぶりに母と父を見舞いに行った。

父は病室で絵を描いていた。

穏やかな風景画だった。

まだ途中だと父は言ったが、やわらかな色彩に何かほっとするものを感じた。

私は、父の絵にはまったく興味がなかった。

父が最初の頃、小さな賞をとったと聞いた時も「ふ〜ん」と答えただけで、父のいないところで母に「誰でも取れるんでしょ」と皮肉った。

その作品を見に行こうと母に誘われた時も、「めんどくさいなー」と言いながら、だらだらとついて行き、父の絵の名前だけ確認して、ほかの人の絵をたっぷりほめて帰ってきた。

「こうして打ち込むものがあってよかったよ」

そういう父の顔色はとてもよかった。

私はここのところ、まったくもって体調がすぐれず落ち込んでいたので、父が元気でいたことは、少し励みになった。

    ***************

雨の中、時計屋さんに壊れた時計を持って行った。

古いので、メーカーに出して分解掃除をしてみるが、だめな場合もあると言われた。

だいたい8千円から1万円かかるという。

う〜む、ち〜と予想していたより高い。

しかし、「お願いします」と言った。

古くても、私にとってはなくてはならない物。

修理に出してそれでダメなら、あきらめるしかない。

しかし、時計は手巻きに限る、と私は思っている。

平井堅の「大きな古時計」だって、手巻きじゃろが。

あれが電池だったら、歌の中のじいさんは、まだ生きてるぞ、きっと。

手でね、命を吹き込んでやるのよ。

ジーコジーコってね。

それが「愛」ってものよ!

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